新人声優は人気を獲得できるか?

さて、どんな声優もデビュー直後は人気ゼロ、知名度ゼロ、なわけですが、果たして一体それがどういう過程を経て人気声優と呼ばれるまでになるか、というのは興味深いところです。ここで、ある新人声優について「ファンの人気がゼロである」と仮定しましょう。この新人が新番組の主役を射止めた場合、これは完全に「スタッフの人気」によるものです。もっと言えば、「スタッフの人気」は(B)に示すところよって二つに分解できて、「ファンの人気がゼロ」なわけですから、残るのは「スタッフの意思」だけ。これは例えばオーディションで良い結果を残したとか、プロダクションの推薦があったとか、そういう物を総合して「スタッフの意思」と呼んでいるものです。それによって、新人声優は新番組の主役に抜擢された。ここまでで「ファンの人気」というファクターは一切影響してきません。
 
重要なのは、その「新番組の主役を新人声優がやる」という事実に対して、声優ファンの側へどれだけ「ファンの人気」としてフィードバックがあるか、ということです。シンプルな言い方をすれば、「新人声優がその番組でどれだけファンを増やせるか」。この要素は単に声優の技量だけに拠るわけではなく、作品自体の人気、キャラクターの人気、放映期間、時間帯、その他もろもろが絡んできます(C)が、今日はそこには立ち入らないことにします。で、そのフィードバックの結果を我々がどう観測するのかと言ったら、結局は「その番組が終わったあと、どれだけ仕事が増えたか」という「スタッフの人気」でしか観測はできない。そこから「ファンの人気」を類推する他ないのです。残念ながら。ここまで書くと、いかに「仕事の多さ」というのが声優の人気を表す上で重要なファクターであるのかがわかります。