今週のガラスの仮面

のりえの正体を見破った亜弓。「上手いものね…でも所詮は物まねよ」さすが亜弓さん、わかってらっしゃる。
 
でも亜弓がマヤの仇討ちに出てくるとは、少々意外だった。月影先生は手を差し伸べない。差し伸べないどころか、高みの見物を決め込んでいる。マヤが立たされている苦境も、彼女は「紅天女へ続く道だ」と言ってはばからない。でも亜弓は?何のために競演してまでのりえを追い落とそうとするのか。「私は乙部のりえを許さない」それは果たして正義感から出た言葉だろうか。
 
亜弓の本心は、「有望な女優の前途が閉ざされるのを見ておられずに」、というよりはむしろもっとエゴイスティックなものだろう。マヤが舞台へ復帰し、再び演技を争うことは自分にとって「得」である。それを邪魔した乙部のりえは自分にとっても障害である。だから、自ら叩く。そう考えた方がしっくりくる。
 
自分に勝るとも劣らないライバルを「自分を高めるのに必要な存在だ」と認識することができる亜弓。「切磋琢磨」と言えば簡単な話のように聞こえるが、実際大したものだ。マヤの方はというと、そんな大それた考えは到底抱いておらず、育ちの良さも含めて、亜弓はまだまだ尊敬の対象である。だが舞台の上では互角。個々のメンタリティを超えた絶対的な「勝負の世界」がそこにはある。だからこそ、もう一度、舞台に上がるんだ、マヤ……!!