おくさまは女子高生 最終回

教師と教え子の仲を裂くために、割とエゲツないことをやってきた岩崎先生だが、最後の憑き物が落ちたかのような表情を見るにつけ、「結局、この人は変わり種夫婦の被害者だったのかな」と考れば、少しは同情もした。これで約束どおり岩崎先生が秘密を守ってくれるのであれば、岩崎先生への評価も逆転するのだけど、彼女自身は報われないなぁ。同情したが故の、歯がゆさも残った。
 
アニメ「おくさまは女子高生」は、大筋では、禁断の愛を展開する、女子高生と教師の夫婦の物語であった。二人の危機感がいささか足りないために、たびたび秘密がバレそうになるのを、二人で何とか回避する。その過程を通じて、二人は一層愛を深める、というわけだ。麻美は劇中で何度も「ずっと愛してくださいね」とアツアツカップルにありがちな、無責任なセリフを発するが、あながち無責任とも言い切れないような説得力も、十分ではないにしろ感じさせた。
  
大筋では、と書いたが、本当のことを言うと、それ以外の要素は無視しても構わない。それほどに、このアニメの描くテーマはシンプルであった。それを薄っぺらいと見るか、割り切った作りであると見るかは視聴者の自由であるが、少なくとも自分は後者だ。3ヶ月13本という放映期間は、物語を醸成するには決して長くはない。それをよくよく承知した上で、このアニメは構成されていたと言っていい。特に、AパートとBパートで違うエピソードをやるという手法は、昔は多用されたものの今は流行らない手法の一つだが、このアニメではそれを効果的に使って見せることで、1クールのアニメを1.2〜1.5くらいには厚みを増して見せていた。そこだけ見ても、十分評価に値するのではないか。
 
テーマがシンプルなので、声優に求められる物もシンプルかというと、一概にはそうとも言えないが、一つ視点を設定するとすれば、それは「シリアスなときはシリアスに、ラブラブのときはラブラブに」それがちゃんと出来たかどうか、ということが一つの目安になるだろう。「だんな様…」という短いセリフに憂いや不安を詰め込む。当たり前のことのようで、結構難しい。シリアスな場面を演じる際に「アニメの文法」に逃げ込んでしまう人も多いが、麻美役の川澄さんは、個性とでも言うべき独特の感性で、そこを上手くクリアしている。だんな様役の真殿さんは逆に、ラブラブモードのときの「麻美…」というセリフに、命を懸けているように思えた(笑)
 
人気のほどはともかく、7月期の中では一番好みの作品だったかもしれない。