寸評

この作品の登場人物って、モンスターにしろメロスの戦士にしろアイバーマシンにしろ割と行動原理とか目的意識とかがハッキリしてて、そのスケールとかテリトリーが大きい小さいはあるんだけど、割と明確。で、行動原理がしっかりしていればそこからキャラクターの性格付けみたいなのが吐き出されて細かいディティールが出来上がっていって、それが演技に反映される、っていうのが、一般的な意味での「リアル」「リアルな演技」だと思うんですけど、この作品の場合は必ずしもそうじゃなくて、なんていうか、「浮いてる」「浮世離れ」っていうんですか?別の言い方すると「歌うようにしゃべってる」って言うのかな。アンリアルなんですよね。ボッカ小夜子あたりはまだ普通だけど、他の登場人物はなんだか「心ここにあらず」みたいな。
で、何が言いたいのかというとこの作品にとってはこの選択は全然アリなんですね。元々よくわからない世界なんだから、アンリアルの方がかえってリアルに思えるんだと。ただそれだけです。むしろどうやったら声優陣をまとめてこういう雰囲気作れるのかなぁとそっちの方に興味が沸きますけど。
似た傾向の作品としては「キノの旅」がありますけど、こっちは主役のキノとしゃべるバイク、エルメスがアンリアルの象徴とも言うべきもので、二人が具体的なシチュエーションを与えられてそこを旅していくという。それぞれの国にはアンリアルな住人も居ればリアルな住人も居て、キノと彼らによってお話が綴られます。
キノの旅、1話完結で進むんで入りやすいですし、忘却が好きという人はレンタルでもして見てもらうと面白いかもしれません。