(長い)メモ

声優について思うところは人それぞれだろうが、
「一人の声優さんが様々な役柄を演じて見せてくれるのは面白い。」
というのは多くの方が同意してくれるところだと思う。
一龍斎貞友さんという声優さんが居て、一般にはまだ「鈴木みえ」名義の方が通りが良いのだろうが、この方は長寿アニメ「忍たま乱太郎」のしんべヱ役や、こちらも長寿アニメ「クレヨンしんちゃん」のマサオ役と言った、弱気でどんくさそうな少年の役が有名だ。
 
ある声優さんに対して有名な役が二つとか三つあって、その役柄が割と近かったりすると、我々はときとして「ああ、この声優さんはこんな役しか出来ないのかな」と思ってしまうことがある。だがそれは必ずしも正しくはなくて、何か全然違う役柄を目にしたときにガラッと評価が変わるということがある。
 
一龍斎さんも自分にとってはそんな声優さんの一人で、自分が最近TV埼玉で「小公女セーラ」の再放送を見ているのは以前お話したけども、そのセーラの中に一龍斎さん(このときは「鈴木三枝」名義)も登場する。
 
一龍斎さんの役柄はというと、貧しい家に生まれ、幼くして町に働きに出ている少女ベッキー(写真)。彼女はミンチン女学院でこき使われているときにセーラと出会い、優しい心遣いを受け、以後セーラを「お嬢様」と呼んで慕う。セーラは色々あってミンチン女学院で働かされることになってしまうが、それでもベッキーはセーラを「お嬢様」と呼ぶのを止めず、それまで通りセーラに献身的に尽くす。
 
一言で表すと「けなげな子」なのかな。少々どんくさいところがあって、顔にはそばかすが目立つし、言葉も訛ってるし、セーラと比べてもお世辞にも美人とは言えないけど、けなげで応援したくなるキャラ。
 
さて、ここから声優さんの方へフォーカスを合わせてみると、最初は確かに「マサオ君だなぁ」と思っていたが、ベッキーの描写がされていくに連れて自然と彼女の声が馴染んだ。ベッキーも確かに「弱気でどんくさい」んだけど、「けなげ」というのはしんべヱやマサオ君にはない性格で、ここを一龍斎さんはしっかりと表現している。自分が好きなセリフは、14話の「わたし、嬉しいんです。お嬢様が不幸に負けずお勉強なさっていることが、自分のことみたいに嬉しいんです!」。これ以上ない、というくらいにベッキーのセーラに対する思いが伝わってくるセリフだ。
 
こうして、自分の一龍斎さんに対する印象は、セーラを見る前とあとではガラッと変わってしまった。もっと具体的に言うと、「この人はこの役柄しかできない」という閉鎖的な印象から、「この人はもっと色んな役を演じられる、それを聞いて見たい」というような開放的な印象に変わる。自分はこのような印象の変化に「声優ファン」が得るカタルシスの一端が顕れているように思う。(終わり)*1

*1:書き上げてからポチッとキーワード押してみたんですがそういえばこちらも長寿アニメ「ちびまる子ちゃん」のお母さん役なんてのもありましたねぇ…もう数年見てないのですっかり忘れてました。ごめんなさい。