昨日の出来事

最近仲良くしてもらってるコミュニティFMが主催でイベントをするというので、うちのサークルから数人で手伝いに行った。午前中は配布用のプリントの仕分けとか事務作業をして、午後からデパート内のホールで会場設営。自分は裏方をすることになった。
 
裏方と言っても既に会場には備え付けの音響機材が置いてある。マイクのボリューム調節は他の人が済ませ、自分のやることと言ったら進行表を頭に入れてBGMのフェードイン・フェードアウト・カットイン・カットアウトをするだけ。フェード〜は普通に使うけどカットイン・カットアウトがわからないので訊いてみたら「フェード〜しないこと」だと言われた。なるほど〜…。進行表を見返すと、だいたいカットインしてフェードアウトするパターンが普通のようだ。
 
というか、その程度のド素人である。経験を積むのはラジオを収録をしながら追々と…という公算を立てていたのであるからして、全くの経験ゼロ。大丈夫かいな…と汗がにじむ。このとき既に開場15分前。
 
本来、ミキサーの仕事は若い局長さんがするはずだった。経験ゼロなのは承知の上で、自分はそのおてつだいとして使ってくれることになっていたのだ。だけど局長さんは挨拶まわりで忙しく、自分がその場に取り残されたのである。加えて、ピアノの調律だの機材の不調だのものまねタレントのリハだのが続き、ほとんど機材が触れない状態で、ようやく、BGMのボリュームのテストを開始した頃には、既にお客さんが席に着き始めていた。「えっ!!もう開場してるやん!!」
 
ぶっつけ本番である。地元では知られた女性のMCがスムーズにしゃべり始めるのと同時に、一曲目のBGMをかける。そのあとはよく覚えてないけども、最初の方しばらくは上手くいっていたはずだった。
 
途中でMCさんからクレームが入る。「BGMのボリュームが大きい」。全体的に少し大きいと言われたので素直に聞き入れる。ちょっとした問題が起きたのはトークショーに差し掛かった辺り。某・スポーツ選手とMCが、某・スポーツの今期の展望を語るというもの。ここで曲のイントロと選手のしゃべり出しがモロにかぶってしまい、選手から「しゃべりにくいな〜BGM止めてもらえますか」とマイクで直接言われる。結局「無音では逆に話しづらい」ということでうす〜くBGMをかけて続行したが、このときすでにかなりヘロヘロ。男性のMCの言葉に釣られて、一度かけた曲を止めるというミスもした。あとで怒られるのは必至…!!
 
リハの時間が十分に取れなかったのはそうだが、リハの時間が十分に取れたとしても、自分が失敗せずにできた可能性は低い。知っていなければならないことが何であるか、ほとんど理解できていなかったからだ。何かを管理するということはすなわち、管理するにあたって必要な情報とは何であるかを理解し、それが全部頭に入っていなければならないということだ。何かトラブルが起きてからではあまりに遅い。
 
イベントが終わったあとで、スタッフを集めて15人くらいで打ち上げ。そこで自分にかけられた言葉は、予想していたより暖かいもので、大変すくわれたが、二人のMCや局長から「はじめてだったからしょうがない」と言われたのを、複雑な気持ちで聞いていた。
 
あとで気づいてハッとしたが、これを、自分にわかりやすい言葉で端的に言うと、
 
 「まぁはじめて声優やったから仕方がない」
 
と言われたのと全く同じなのだ。懸命に背伸びはしたが、自分はまさにそういう場所に立っていたのだ。そりゃあ、ダメだ。本当に、ごめんなさい。
 
その席で、イベントに来た人が書いた感想用紙も見せてもらったが、案の定何人かのお客さんから、「音響がヘタ」と言ったような意見をいただいていた。このお客さんたちは学生が裏で何かやっているなんて知らないから、素直な気持ちから、そう思ったのである。自分の仕事に対する評価は、実際、そんなようなものだったのだ。
 
恵まれたことに、自分にはまだ次がある。これがプロの世界だったら次などない。次で、挽回するしかない。