こんばんわ。病み上がりの鳥猫です。(と言っても翌日には風邪は治ってましたが)
今日は大上段に構えまして持論を展開したいと思います。
 
声優ファンがインターネットという道具を手に入れて、アニメのクレジットからその声優の過去の仕事履歴を素早く検索できるようになって、これは素晴らしいことだ。ということは以前に書きました。声優データベースさんと応援ページさんにはいつもお世話になっています。
で、今日はもう一歩踏み込んで、今度は過去でなく、未来の出演情報はどこまで公開できるのか?公開することによってどんな影響がもたらされるのか?ということについて考えてみたいと思っております。
 
§1・現状はどうか

  • 現状でも自分のサイトで出演スケジュールを公開している声優さんは少なからずいらっしゃいます。ただ、何から何まで載せてるという人は稀で、過去の主な出演履歴を載せてあとは日記でちょこちょこと書いていくとか、掲示板で「○○みました」と後追いだったりとか、そういう感じのサイトが多いです。
  • また、大部分の声優さんは自分のサイトを持っていません。そういった声優さんは事務所の公式サイトでレギュラーの新番組などをフォローアップしてくれる場合が多いですが、後追い掲載が多く、情報を持ってるだろう事務所にしては積極的な情報公開とは言えません。
  • 声優サイドからの情報公開のほかに考えられるのは、アニメやゲームなどでの制作サイドからの情報公開です。これはだいぶ性質が違いますが確かに先出しですしインターネットの出現以前から日常的に行われていたことです。だいたいメインのキャストのみが公開されます。

 
§2・先出しで出演情報を公開することのメリット
議論を進めるためにまず簡単な仮定をおきます。
『この議論で“情報を先出しで公開する”と書いたらそれはすなわち“特定の声優の、つぎに出演するアニメ(アニメでなかったら他のメディア)の情報をインターネットを使って得ることができる”ということを指す。』
 

  • この仮定が達成された世界では、声優ファンは以下のような恩恵を受ける。
    • 「あ〜あのアニメにゲスト出演してたのかぁ、知ってたら見たのになぁ」と言ったような見逃しが根本的に解消される。
    • 「まだファンではないけど、ちょっと気になる。」そんな声優に対しても、「この声優さん興味あるからつぎに出る作品を見てみよう」と考える。ファンになる間口が広がる。
    • 声優一人当たりの情報を集めるのにかかる時間が短縮されるので、今までよりも多くの声優や作品に視野を向けることができる。敷居が下がるので、アニメファンから声優ファンへ転向するものも増加すると予想される。

 

  • 声優、事務所サイドの恩恵としては以下のようなものが考えられる。
    • 主役・レギュラー以外でもファンが見てくれるのはわかっているので励みになる。
    • アニメ以外の声の仕事(ナレーションや外画吹き替え、ゲームなど)を活躍の場としている声優でも「こんなに仕事してるんですよ」というように存在感を示すことができる。情報が均衡化されることによって各メディアの重要度をも同じように均すことができるはずである。

 

  • 声優を使う側、制作サイドにはどんな恩恵があるのか。
    • とりあえず潜在需要として5人キャストを公開するよりは10人キャストを公開した方が声優ファンを引っ張ってこれるはず、と考える。

 
§3・シミュレート
ファン・声優・制作と三者の視点でメリットを独立に述べてきましたが、ここからは仮定から実際どのような流れが作られるのかを筆者の足りない脳みそでシミュレートしてみたいと思います。(大部分が妄想です)
シミュレートその1・人気声優とそれ以外の声優の格差が縮まる
今でも人気声優と呼ばれるような人はある程度ファンへ向けて情報を発信してますから、今までそれをしてこなかった声優さんが同じことをすることで、「露出(出演情報)の多い声優へ人気が集まる」という点において格差は是正されます。で、現状では「露出の多い声優→アニメに付随するタレント活動(イベントやラジオや雑誌取材)を多くこなす声優」ということになってると筆者は感じていますので、現状の「タレント業務から派生する人気」、という意味合いから「声優としての仕事ぶりから発生する人気」へ、本来、人気声優の発生というものがあるべき形へと戻してくれるはずだ、という希望的予測もしています。声優のタレント業務がなくなるとは思いませんし(例えばイベントやラジオをやって作品のプロモーションを図るという意味においてはタレントとしての声優の需要があるのは確かですから)、筆者は敵視しているわけでもありません。どっちで人気出るのが先かというところがポイントになると思います。
 
シミュレートその2・声優の起用の仕方が変わる
今まで明確だったように思えた「人気声優」の境界が曖昧になってくると、人気声優のファンを当て込んでキャスティングしていたアニメ制作スタッフは「誰を起用したらいいんだ」と頭を抱えるはずです。結果的には「じゃあキャラとの相性が良い声優をオーディションで見つつギャラとも相談しながら決めようかなぁ」と、本来そうあるべきであった作品主導のキャスティングをするようになるのではないでしょうか。(また希望的予測)
 
シミュレート3・競争は激化し淘汰が進むのか
「アニメが人気声優を作る」と聞こえは良いですがその実体は実に不透明です。一旦人気が出始めればその声優へ優先的に仕事が集まってくるのは自明ですが、どうやったらその最初のチャンスが掴めるのか。どのアニメの主役をやったら人気が出るのか。そんなのは蓋を開けてみないとわからない。結局はひとつひとつキャリアを重ねていくことが声優としての証になるのでしょうが、この点において駆け出しの若手声優は今以上に厳しい競争条件に曝されることになります。不透明さを打ち破るような新しい評価基準(例えば声優ファンが能動的に声優を評価するような媒体であるとか)が生まれてくるのかもしれません。
 
§4・仮定をいま一度検討する
§2で置いた仮定がはらむ問題点を挙げておきます。

  • 情報をどこまで開示しなくてはならないのか。これまでの議論では情報を開示する側のデメリットが考慮されていない。全ての情報を公開すべきでない場合もあるし、声優(プロダクション)側にその権限がない場合もある。例えば、アニメの仕事において声優が役名を出すとネタバレになってしまうような場合。また、企業の研修ビデオのような一般には出回らない仕事の扱いなどは注意が必要である。
  • 現時点で公開できる次の仕事が決まっていなかったら、または数ヶ月先だったら、どうするのか。「仕事量」がその声優の価値基準である場合これは致命的ではないか。
  • いちいち制作側に許可取ってネットにアップするなんてめんどくさいです。ほんとは結構忙しいんですよ。

他多数
 
§5・「(声優版)インターネット・最後の大改革」は起こり得るのか?
さて、これまで延々と妄想展開してきましたが、実際全ての声優がちくいち出演情報を開示する時代なんて来るんでしょうか?
鳥猫は「割と近い将来実現するのでは」、と予想しています。

  • 根拠1 情報を開示すれば多かれ少なかれ効果があるのは既にわかっている
  • 根拠2 部分的にではあるけども個人で情報を開示している人も既に居る
  • 根拠3 プロダクション単位で緻密に情報を開示するところが現れれば、他プロダクションは追随せざるを得ないはず
  • 根拠4 あとはインターネットのますますの一般化に伴って、プロダクションのあいだで情報の開示が活発化するはず

というのが主な根拠です。ほんとでしょうか。さぁ…
§4で挙げた問題点はその過程で段階的に解消されていくはずです。§2の仮定は議論を簡単にするためであって、何も最初から全て開示する必要はありません。そこは各プロダクション様の判断にお任せするということで、各プロダクション様へ、ぜひ一度、出演情報の積極的開示について検討されてはいかがでしょうか?
いち声優ファンとしてお願いします。m(_ _)m
 
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