NHK総合・ホリデーインタビュー「永遠の少年 声優・野沢雅子」を見ました。(2004/7/19 6:30〜6:53)一部抜粋
「声優は絵に命を入れるということ。絵が『そこ』と指す指が生きていなきゃいけない」


──“声優”というのは、顔を出す役者と、どこが違いますか?
何が違うかって言うと顔を出す役者というのは、自分を全て曝け出して演技ができるわけです。だけど、声優というのはあくまでも、向こうのものにあてて命を入れるということですよね。役者さんは自分がやる人はもうここで命が出てるわけですから全部ここでできるわけじゃないですか。こうやって私が指差すのもこれも生きてるわけですよね、でも、(声優の場合は)私が指せないわけですから、絵が指してるんですから。その絵の手が生きてなきゃだめなんです。私が「そこ」って言ってるものが。私が「そこ」って、こういう風に言ってんのと、同じにしなければいけない。そこが、一番の違いですよね。

「声優は少年の気持ちを持っていればいくつになっても少年の役ができる」

──野沢さんが声優の大部分で演じてきたキャラクターが少年ですけど、40年以上やって、いまだに少年ができるというのは、顔出す役者だとありえないと思うんですが。
ありえませんよね。絶対100%ありえないですよそれは。いくら少年の心を持ってたって。でも、おかげさまで、声優は顔は出さないですから、私の中に少年の気持ちを持ってる限りは、絶対できると思うんです。死ぬまでできると思うんです。

「息をしてる限り続けたい」

──野沢さんが、これから目指す目標とか、演じてみたい役というのはあるんですか?
あります。それはね、こういう役をやりたいってことじゃなくって、私、昔から先輩に、赤ちゃんやったりおばあさんやったりするもんですから、「ゆりかごから墓場までをやる女優だ」って言われたんですよ。だからゆりかごから墓場までをできる(続けられる)女優さんっていうかな、役者で、命のある限り、私が息をしている限りずーっとやりたいっていうのが目標なんです、私は。マイクがあればもう即そこへ行って、たとえば私はもうよれよれの、100歳以上になっちゃって、100歳以上まで生きるつもりでいるんですから、こんなよれよれで行って、スタジオ行って、見てて、自分の役が出てくる前に、ぱっとマイクの前言ったらしゃんとして、自分の役が終わるとまたこんなんなって杖をついて帰ってでもやりたいです。役者、野沢雅子がびしっとしてる。息をしてる限り…

(聞き手はNHK・藤崎弘士アナウンサー)

インタビューに答える野沢さんは本当に若々しくて、「100歳以上まで生きるつもりですから」というのもぜんぜん大げさに聞こえません。野沢さんといえばついこないだのマシュマロ通信のプラムばあさんの回もすごく良かった。キャラクターに命を与えるっていうのは、言い換えれば、キャラクターが色々なものを背負って生きてきたものがキャラクターの姿越しに見えるっていうか、そのくらいなもんで、あの回はとても気に入ってます。
こういう番組、たまにでいいからまたやってほしいなぁ。